ウイルスの名前とキラキラネーム
ウイルスの名前の法則性
皆さんこんにちは。
日に日に暖かい日が増えてきて、私が通っている大学でも桜の花がちらほらと咲き始めました。数日も経てば桜も見ごろを迎えるのでしょうが、現段階の天気予報を見ると数日後からしばらく雨が続くようなので、少し残念です。
さて、先日の記事でサボテンにバイラス病をもたらすサボテンX(エックス)ウイルスについて簡単に触れましたが、
maipe-suhakusikateinoaadakouda.hatenablog.com
サボテンXウイルスという名前は面白いと思いませんか?
サボテンに感染するウイルスなので、サボテンウイルスというのは納得できますが、Xはどういう意味なのでしょうか?
またまた、「植物ウイルス大事典(朝倉書店)」を参照してみると、
「番号、文字、あるいはそれらの組み合わせは、それらが既に広く使われている場合には種名の形容詞句として使用してよい。しかし、連続的な番号、文字、あるいはそれらの組合せは、新提案の種名の形容詞句として認めない。番号や文字が既にある場合には、継続した番号や文字を使用してもよい。」
だそうです。
つまり、サボテンXウイルスのXは種名の形容詞句として用いられてる文字ということになります。そして、このウイルスが初めて報告されたのは1960年前後(引用をさかのぼったのですが、古すぎたり文献がドイツ語であったりと詳しくはわかりませんでした)であり、今のウイルス命名の体系が作られる前であったため、新提案の種名の形容詞句にXがつけられたと思われます。
ちなみに、ウイルスの名前にXのようにアルファベットがつくウイルスはほかにもあり、有名どころだと、ジャガイモXウイルス、ジャガイモYウイルス、ジャガイモAウイルス、ジャガイモMウイルス、ジャガイモSウイルスなどのジャガイモウイルスシリーズ、ブドウAウイルス、ブドウBウイルス、ブドウEウイルスなどのブドウウイルスシリーズがあります。
AとかBはアルファベットの最初の文字なので、ウイルス名にあてはめていくのは何となく腑に落ちますが、XやYはなんでしょう。
おそらく数学でわからない数字のことをXやYとおくことからきているのではないでしょうか?ともあれ、Xとつくと急にかっこよく聞こえますね。
このようにアルファベットがつくウイルスもありますが、例外的な命名であり、ほとんどの植物ウイルスはもっとわかりやすい名前です。
例えば、世界で初めて発見されたウイルスは意外にも動物ウイルスではなく植物ウイルスであり、その名前をタバコモザイクウイルスといいます。
名前から連想されるようにタバコモザイクウイルスは、タバコにモザイク病を引き起こすウイルスです。
つまり、植物ウイルスの名前は
- 最初に病気として分離した植物
- そこで引き起こされていた病気名
- ウイルス
この三つを組み合わせたものがウイルス名になることが多いです。こういう命名法であれば、名前を聞くだけでどんなウイルスか想像しやすいですね。
おわりに
今回は植物ウイルスの名前に迫ってみました。
近年、キラキラネームといわれる、読む際にクエスチョンマークが浮かぶ当て字のような名前が多くなっているようですが、私個人は読みやすい名前の方がいいかなあと思ってしまいます。それは植物ウイルスの名前も一緒であり、名前を見ただけでどんなウイルスかわかるウイルス名がありがたいです。
いずれかの未来に、植物ウイルスにもキラキラネームの余波が来ないことを祈って。
それではまた。